証券会社10社の2024年1〜10月のNISA口座開設件数は約317万件で、多くの人が新NISAを通じて投資を始めています。
新NISAに興味はあるものの「よくわからないまま始めたせいで、失敗したり損したりしないか不安……」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では「投資は初めて」という方でも安心して始められるよう、新NISAの基本的な仕組みや口座開設の手順をわかりやすく解説します。注意点も説明しますので、しっかりと理解してから新NISAを始めたいという方は、ぜひ参考にしてください。
新NISAとは?押さえておきたい4つのメリット

新NISAは、投資初心者にとって強い味方となる制度です。これから4つのポイントで、新NISAの特徴を詳しく解説します。将来の資産形成に向けた第一歩として、ぜひチェックしてみてください。
1. 投資収益が生涯非課税
新NISAでは、投資による利益が生涯にわたって非課税になります。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。また、旧NISAでは非課税期間が最長20年でした。
しかし新NISAでは、売却時期に関係なく、上限投資額※1の範囲内で株式投資や投資信託などを行って得た利益には税金がかかりません。※2 税引前の利益をそのまま受け取ることが可能となりました。
無期限の保有が可能になることで、長期投資のメリットをより活かしやすい制度となっています。
※1 最大1,800万円。(つみたて投資枠(600万円)と成長投資枠(1,200万円)の合算)
※2 株式数比例配分方式に設定する必要がある。
2. 2種類の投資枠で柔軟な運用が可能
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類が用意されています。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円まで投資可能です。2つの枠は併用できるので、新NISAで1年間に投資できる最大額は合わせて360万円です。
つみたて投資枠と成長投資枠の違いは、投資できる商品が異なることです。つみたて投資枠では、一定の基準を満たした投資信託のみ購入できます。具体的には、以下の条件を満たす投資信託が対象となります。
- 手数料が無料もしくは低い
- 長期の資産形成に向いている
- 投資対象が分散されている
- 頻繁な売買を行わない運用方針
このような厳格な基準を満たした商品だけが対象となるため、投資初心者でも安心して長期投資を始められます。
一方、成長投資枠では投資信託だけでなく、上場株式や上場不動産投資法人など、幅広い金融商品に投資することができます。
投資経験や目的に応じて、2つの投資枠を柔軟に組み合わせることが可能です。
3. 最大1,800万円まで非課税で投資できる
新NISAで非課税投資できる金額は、購入時の金額(買付金額)ベースで最大1,800万円です。この金額は、つみたて投資枠(600万円)と成長投資枠(1,200万円)の合計です。
例えば、つみたて投資枠で毎月5万円ずつ投資信託を購入する場合、年間で60万円分の投資枠を使うことになります。この投資信託の価格が上がって70万円になった場合でも、使用した投資枠は購入時の60万円分のままです。つまり、残りの投資枠は540万円(600万円-60万円)となります。
また、売却して空いた枠は、翌年以降に再利用できます。資金が必要な時は売却して現金化し、余裕ができた時に再投資することが可能です。
ちなみに旧NISAの非課税枠は、つみたてNISAで800万円で、一般NISAとの併用は不可でした。新NISAではつみたて投資枠が600万円となり、さらに成長投資枠1,200万円と併用できるようになりました。投資枠が大幅に拡大し、より本格的な資産形成が可能となっています。
4. いつでも始められる制度設計
新NISAは恒久的な制度として設計されており、口座開設のタイミングに期限はありません。また、一度投資を始めても、途中で積立額の変更や一時的な中断も可能となっています。
旧来の一般NISAは2023年まで、つみたてNISAでは2042年まで(買付は2023年まで)が非課税と定められていました。
ライフプランや資金状況に合わせて柔軟に対応できる点も、大きなメリットです。
新NISAの注意点!知っておくべきデメリット3つ

新NISAは魅力的な制度ですが、理解しておくべき重要な注意点があります。投資リスクや制度の制限を知らないまま始めてしまうと、思わぬ失敗につながる可能性があります。これから紹介する3つのポイントは、新NISAを始める前に必ず押さえておきましょう。
1. 損失が出る可能性がある
投資信託や株式は、株式市場や為替市場の変動によって価格が上下します。そのため、投資した金額よりも価値が下がってしまうことがあります。(元本割れ)
元本割れのリスクに対しては、以下の3つの方法で備えることができます。
- 長期投資:短期的な値下がりにとらわれず、長い目で見て資産を育てる
- 積立投資:毎月決まった金額を投資することで、価格変動の影響を抑える
- 分散投資:複数の地域や資産に投資することで、リスクを分散させる
特に新NISAのつみたて投資枠で選べる商品は、これらの投資方法を実践しやすいよう設計されています。こうした投資を続けることで、短期的な値下がりにも落ち着いて対応することができます。
2. 投資枠によって購入できる商品が異なる
新NISAの投資対象は、投資信託、上場株式、ETF(上場投資信託)のみに限定されています。外貨預金や債券、FX取引などは対象外となるため、投資プランを立てる際は注意が必要です。
特に投資枠による商品の違いに気をつけましょう。つみたて投資枠では、手数料が低く長期投資に適した一定基準を満たす投資信託しか購入できません。一方、成長投資枠では、個別株式を含むより幅広い商品に投資できます。
投資を始める前に、自分の投資方針に合った投資枠を選び、その枠で購入可能な商品を確認しましょう。
3. 新NISA口座は一つしか開設できない
普通の銀行口座は複数の金融機関で開設できますが、新NISA口座は一人1つの金融機関でしか開設できません。つまり、A証券会社とB証券会社の両方で新NISA口座を持つことはできないのです。
仮に2つの金融機関で口座を開設しようとした場合、片方は一般口座や特定口座として扱われ、NISA口座としての非課税メリットを受けることができません。複数の金融機関のサービス内容をしっかり比較検討し、自分に最も合った一つを選ぶようにしましょう。
新NISA口座開設の4ステップ

新NISA口座の開設は、オンラインで完結することができます。「実店舗での対面接客や電話での申し込みは面倒……」という方は、WEB申し込みを活用して、自分のペースで口座を開設しましょう。
この章では、実際の開設手順を4つのステップに分けて解説します。
1. 自分に合った金融機関を選ぶ
新NISA口座は一人1つの金融機関でしか開設できないため、金融機関選びは慎重に行う必要があります。以下の4つのポイントを中心に、自分に合った金融機関を選びましょう
■ 商品の品揃えと手数料
- 自分の投資方針に合った投資信託があるか
- 手数料(購入時手数料、信託報酬)の水準
- 最低投資金額
■ スマホアプリの使いやすさ
- 残高・損益の確認のしやすさ
- 積立設定の変更のしやすさ
- 投資情報の閲覧機能
■ 初心者向けサポート
- 基礎知識の解説コンテンツ
- 問い合わせ対応の充実度
- サポート時間帯の柔軟さ
■ 入金方法の便利さ
- 銀行振込、自動引落としの対応
- 入金手数料の有無
- ATM手数料の優遇
各金融機関のサービス内容を比較検討し、長く付き合える金融機関を選びましょう。
2. オンラインで口座開設をする
新NISA口座は、多くの金融機関でオンライン完結での開設が可能です。必要な準備物と手続きの流れは以下の通りです:
■ 用意するもの
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- マイナンバーが確認できる書類
- スマートフォンまたはパソコン(書類撮影用)
- メールアドレス
- 日中連絡可能な電話番号
■ 申し込みの流れ
- オンラインで口座開設フォームに必要事項を入力
- 職業や年収、投資経験などの質問に回答
- 必要書類を撮影してアップロード
- 金融機関による本人確認と税務署による重複口座確認(1〜2週間程度)
- 審査完了後、金融機関から通知
繁忙期や書類に不備があった場合は、審査完了までさらに時間がかかる可能性があります。
3. 投資する商品を選ぶ
初めての投資では、分散投資が可能な投資信託がおすすめです。特に、つみたて投資枠で購入可能な「つみたてNISA対象商品」は運用コストが低く、長期投資に適した商品として国が認定したものです。
商品選びの際は、過去の運用実績やコスト(信託報酬)、投資対象の地域や資産などを比較検討しましょう。複数のファンドに積み立てることもできます。一つのファンドだけに投資するよりも、リスクの分散になります。
4. 投資金額を設定する
投資金額で重要なポイントは、月々の収入や支出を考慮して、無理のない範囲で設定することです。生活資金に余裕がない状態で投資を続けると、急な出費時に投資資金を引き出すことが考えられます。その際、価格が下がったタイミングであれば、売却による損失につながりかねません。
新NISAは長期投資による複利効果が期待できる制度であり、少額からでも継続的な投資が可能です。つみたて投資枠では月額1,000円から始められる金融機関も多く、少額からでも資産形成をスタートできます。無理のない投資金額を設定し、着実に続けることこそが、安定的な資産形成につながるでしょう。
まとめ

金融機関選びや商品の選定は、その後の資産形成に大きく影響するため、慎重に進めることが大切です。本記事で解説した手順を参考に、自分の投資目的に合った金融機関で新NISA口座を開設しましょう。まずは金融機関のウェブサイトで商品やサービスを確認してみてください。資産形成への理解を深めた今、次は実践へのステップを踏み出しましょう。